【岡山県】倉敷(倉敷市)


全国的に知名度が高い、倉敷美観地区の古い街並み。

「倉敷」という地名は、中世に荘園領主への献納物を保管する倉庫が置かれたことから付けられている。

倉敷河畔は古くから川港として繁栄し、寛永19[1642]年に天領となって新田開発が進められると、物資の集積地としてさらに発展を遂げる。

運河として利用された倉敷川の両岸には海鼠壁をしつらえた白壁の土蔵と塗屋造の商家が建ち並び、現在の町並みの基礎となっている。

明治に入り、倉敷紡績(クラボウ)が創設され、山陽鉄道が開通すると、備中地区の経済中心地として繁栄する。

現在も残る荷上場や石畳、常夜灯が川港の繁栄を象徴し、つし二階で本瓦葺きの主屋や土蔵など伝統的建造物が建ち並ぶ中に、近代以降の洋風建築が混在する街並みができあがっている。

塗り屋造で庇屋根の上などに瓦を貼ったものが多く、水切り庇を付けた海鼠壁の土蔵や瓦葺の高塀などもつり合い、重厚の中に明るさを持つ独特の景観をつくっている。

昭和54[1979]年に指定を受けた倉敷の重伝建地区は当初、倉敷川を中心とした河畔で鶴形山やその南麓の町筋を含む範囲だったが、近年は東側の本町通り(本町・東町)の地区まで拡大が図られた。

(写真は早朝の倉敷河畔)


【岡山県】倉敷河畔「倉敷民芸館付近」(倉敷市)202101

倉敷民芸館は、江戸時代後期の米蔵を改装して開館された。


【岡山県】倉敷河畔「倉敷館付近」(倉敷市)202101

倉敷館は、大正6年に倉敷町役場として建てられた木造疑洋風建築。

美観地区のランドマーク的存在でもあり、観光案内所として利用されている。

倉敷館の対岸が川船流しの船着き場になっている。

【岡山県】倉敷河畔「倉敷館付近」(倉敷市)202101

倉敷館の前に架かる石橋「中橋」は、橋下を船が通り抜けられるようにアーチ状に湾曲している。

明治10年にそれまでの木橋を石橋に架け替えたもので、欄干の下の部分は花崗岩の一枚岩を使っている。

常夜灯が川港の名残をとどめている。


【岡山県】倉敷河畔「倉敷館付近」(倉敷市)202101

川港の名残として残っている常夜灯は寛政三年製。

休日の日中は観光客で溢れ返る美観地区も、平日早朝は閑静そのもので、散策しやすい。


【岡山県】倉敷河畔「奈良萬の小路」(倉敷市)202101

「倉敷物語館」の細い脇道に入ると、白壁と黒板塀が両側に並び立ち、白と黒の美しいコントラストが見られる。

美観地区で最も美しい路地だそうで、ここには江戸時代からの老舗旅館「奈良萬」があったことから"奈良萬の路地”と呼ばれている。

倉敷物語館(左列2枚)とその脇の路地(右列2枚)

倉敷物語館は江戸時代の商家の長屋門や土蔵を利用した交流施設。


【岡山県】倉敷河畔「大原邸裏手の路地」(倉敷市)202101

倉敷紡績の経営者である大原家本邸の裏手の路地には、黒塀と背の高い白壁の建物が並んでいる。

倉敷でよく見られる海鼠壁はほぼ正方形の瓦を外壁に張り、目地を白漆喰に海鼠状に仕上げたものである。


【岡山県】倉敷河畔「旅館鶴形脇の路地」(倉敷市)202101

倉敷美観地区の醍醐味は路地裏こそにある。

観光地化然として整備された町並みとはいえ、細い路地の両側に白壁や黒塀が並ぶ光景が美しい。

旅館鶴形の脇にある細い路地はその最たるものの一つだろう。

北側の本町通り寄りには黒板塀が見られる。


【岡山県】倉敷本町(倉敷市)202101

全国的に知名度が高い倉敷の古い街並みだが、整備されている感が強い観光客を集めている倉敷河畔の美観地区に対し、ほんの一筋裏道に入った本町から東町にかけての通りは生活感を強くみせている。

阿智神社がある鶴形山の裾に沿うように湾曲した通り沿いの両側に本瓦葺黄、白壁造り、海鼠壁の商家が並ぶが、写真脇の小さなお堂にも海鼠壁の装飾が見られるのは倉敷らしい。

湾曲した通りの両側に商家が並ぶ倉敷本町通り

阿智神社近くには造り酒屋も見かける


【岡山県】倉敷東町(倉敷市)202101

倉敷河畔から少し離れているが、古い街並みが残り、生活感も感じさせるのが東町だろう。

両側に大型で重厚な商家が軒を連ね落ち着いた雰囲気の町並みだが、中でも庇の上に大きなガス灯が揚っていて、袖卯建が備わった呉服店が目を引く。

大きな看板も目を引く呉服店

正面に鶴形山が見える

古い道標が残る。

右 ゆ可(由加)下津井下村 あらわ春(ず)観音(不洗観音)道         

左 吉備津 い奈里(稲荷) お可山(岡山)道


【岡山県】倉敷「阿智神社」からの俯瞰(倉敷市)202101

鶴形山に鎮座する阿智神社は倉敷の総鎮守で、創建は古く、一説には  

応神天皇の母后である神功皇后が三韓遠征の途上、暗夜に航路を見失った際、宗像神に祈願したところ、三振りの剣が当地に天下って航路を照らし、それによって難を逃れる事ができたので、のちにこの三振りの剣を三体明剣と崇め、氏神として斎き祀った (阿智神社HP=縁起より) 

 と伝えられている。 

本町通りから石段が「米寿坂・88段」「還暦坂・61段」「厄除坂・33段」と続き、上がるにつれて年齢が若返る塩梅。 境内からは倉敷美観地区の古い街並みを俯瞰できる。


【岡山県】夜の倉敷河畔(倉敷市)202101 

夕日が西の空に沈むとき、倉敷美観地区全体が景観照明の光に包まれ始める。  

これは、照明デザイナーの石井玲子がプロデュースしたもので、市と地元住民の協力で行われている。 

 河畔の町並みが倉敷川の川面に映る。

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郷愁の風景

(旧★KENTAの写真創庫★) 東京や近郊(ごくまれに遠方)を中心に、 散歩がてらデジカメ📷で下手糞な写真を撮り続けています。 人様にお見せするというよりは、忘備録的なアルバムとなっています。 【主な対象物】 古い民家や街並み 遊里跡(遊廓・赤線・カフェー街・花街) レトロ建築 その他心象風景