【兵庫県】北野(神戸市)


神戸は日米修好通商条約を始めとする諸外国との条約に基づいて、慶応3[1867]年に開港した。

神戸港に近い外国人居留地の開発が遅れたため、それを補完するために明治初年から開発されたのが六甲山の南麓に広がる山手地区で、日本人と外国人の雑居地として認められた。

明治6[1873]年に居留地と山の手を結ぶメインストリート(現・ドアロード)が開通、同22[1889]年には山本通など東西の道路も整備され、洋館と和風住宅が混在する街並みが出来上がった。

異人館の建築は明治30年ごろからピークを迎え、昭和初期頃まで続いたとされ、最盛期には100棟を超えたという。

現在の重要伝統的建造物群保存地区(昭和55年指定)はその山手雑居地の一部にあたり、国重要文化財旧トーマス邸や旧シャープ邸を始めとする33棟の異人館が現存しているが、旧ハッサム住宅や旧ハンター住宅のように他所から移築されたものも含まれる。

(写真は山本通南側、手前はシュウエケ邸)


【兵庫県】北野(神戸市)201511 

北野天満神社境内から神戸の街を見下ろすことができ、手前には「風見鶏の館」を見下ろすことができる。 

北野天満神社は治承4[1180]年に平清盛が福原遷都の際に鬼門鎮護を目的に北野天満宮から勧請して創建したもので、「北野」の地名はこの神社に由来している。 

 北野天満神社


【兵庫県】北野「風見鶏の館」(神戸市)201511

現存する異人館で唯一煉瓦が外壁に使われているのが明治37[1904]年築のG.トーマス邸で、「風見鶏の館」という名で知られている。

トーマスはドイツ人の貿易商で、この個人邸の設計を手掛けたのもドイツ人である。

かつて「風見鶏」というタイトルでNHKの朝ドラが放映されたこともあって、知名度は高い。


【兵庫県】北野「萌黄の館」(神戸市)201511

「風見鶏の館」に並ぶ形で建つ「萌黄の館」は米国総領事H.シャープの邸宅で、イギリス人建築士A.N.ハンセルの設計による(明治36[1903]年築)。

北野異人館の数々

写真左上から時計回りに

うろこの館(旧ハリヤー邸)明治38[1905]年築 国登録有形文化財

ラインの家(旧ドルウェル邸)大正4[1915]年築

イタリア館(旧アポイ邸)大正4[1915]年築

神戸北野美術館(旧アメリカ総領事館)明治31[1898]年築


【兵庫県】北野「石畳の小径」(神戸市)201511

風見鶏の館から東に続く細い坂道には石畳が敷かれていて、塀に囲まれた洋館だけでなく和風住宅も建ち並ぶ。

細い通りだが、意外と観光客の往来は多い


【兵庫県】北野(神戸市)201511

北野の異人館の多くはレストランやギャラリーなど観光客向けに一般公開しているが、メインから外れた細い路地にも洋館が見られる。

件の写真は車が通れない細い路地で、外観の色も赤煉瓦の煙突も萌黄の館と同じような洋館だが、観光向けではなく、生活感溢れる。

通りに合わせたかのように塀の高さが段階的に続いていて、坂の街であることを改めて感じさせる。


【兵庫県】北野「北野通」(神戸市)201511

北野町の山筋を東西に走る通りが「北野通」で、山本通と並ぶ北野異人館街のメインストリート。

新神戸から北野通に入ると真っ先に見える異人館が「ベンの家(旧フェレ邸)」で、明治35[1902]年に旧居留地に商館として建てられたのちに現住所に移築された。

並びにある「仏蘭西館」は、元々は明治37[1904]年に外国人向けアパートとして旧居留地に建てられたもの。


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郷愁の風景

(旧★KENTAの写真創庫★) 東京や近郊(ごくまれに遠方)を中心に、 散歩がてらデジカメ📷で下手糞な写真を撮り続けています。 人様にお見せするというよりは、忘備録的なアルバムとなっています。 【主な対象物】 古い民家や街並み 遊里跡(遊廓・赤線・カフェー街・花街) レトロ建築 その他心象風景