【富山県】金屋町(高岡市)
高岡には、山町筋の他にもう一か所重要伝統的建造物群保存地区が存在する。
山町筋から西へ600m程と近くにある金屋町である。
前田利長が高岡に築城の際に鋳物師を招き、市街地の西を流れる千保川の対岸に幅約50間、長さ約100間の土地を与え、5カ所の吹場を開かせて鋳物造りを行わせた。
この拝領地を中心に発展拡大したのが「金屋町」である。
この「金屋町」が高岡鋳物の発祥地で、初期は鍋や釜、鋤、鍬などの鉄鋳物が中心だったが、18世紀後半になると鋳物師の技術と彫金師や仏具師の技術を融合させ、梵鐘や台燈籠など大型のものから火鉢や燭台など日用品や簪、煙管など装飾品など銅鋳物の生産も行われるようになる。
保存地区は東西約140m、南北約450mで、中心部を南北に走る金屋町通りの両側に江戸期から戦前まで建てられた町家が軒を連ね、伝統的な町家が色濃く残る。
金屋町通りは石畳敷きに見えるが、実は銅片が敷き詰められており、さすが銅鋳物の街と思わせる。
【富山県】高岡「金屋町」(高岡市)201407
高岡は現在も日本を代表する銅器生産地で、国内シェアの9割以上を占める。
金屋町の古い街並みは、現在も鋳物師の居住宅や作業場として現役で利用されている。
一見すると町家が軒を連ねている風に見えるが、各戸の敷地は短冊状に区画され、通りに面して住居、その裏に土蔵、さらにその裏に作業場という配置になっている。
「サマノコ」と呼ばれる千本格子が町並みを彩るが、鋳鉄製の手摺や柱など意匠も見られ、町家の前には銅像のモニュメントが並ぶなど、鋳物の街らしさを見せる。
【富山県】高岡金屋町「旧南部鋳造所」(高岡市)201407
金屋町通りの北側の外れにある「旧南部鋳造所」は、大正13年に創業し、平成12年まで稼働していた。
その遺構が現在も残っており、煉瓦造りの煙突の脇にキューポラ(溶解炉)が現存している。
かつてはキューポラが多かった金屋町だが、現在残っているのはここのみ。
因みに、映画『キューポラのある町』の舞台であった埼玉県川口市には僅かながら現在もキューポラが稼働しているところもあるそうだ。
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