【栃木県】葛生(佐野市)
佐野から北へ10㎞超、平成15年に田沼町と共に佐野市と合併するまでは独立した町だった葛生。
江戸時代から石灰の生産で栄え、江戸城の修復や日光東照宮の造営などで利用された。
この地で生産される石灰は八王子石灰に対して野州石灰と呼ばれ、渡良瀬川の水運を利用して江戸に運ばれるほどに重用された。
近代以降でも石灰、セメント、ドロマイトをはじめとする土石産業が盛んで、安蘇馬車鉄道(のちの東武佐野線)開通によりさらに飛躍する。
県道123号線沿いにはこうした土石産業で財を成したと思しき豪商が建ち並ぶ古い街並みが残る。
道幅が広く、電線が地下化されたので見通しは良いのだが、果たして道幅は往時のままの物か、或いは拡幅されたものか。
【栃木県】葛生「葛生駅」(佐野市)202003
東武佐野線の前身は、明治21年に野州石灰の運搬を主目的で開通された安蘇馬車鉄道で、明治45年に東武鉄道に吸収合併されたことで現在の線名になる。
館林からの支線の形で葛生が終着駅となっており、ホームに面した線路が行き止まりになっているが、奥に3本の留置線が並ぶのは、かつての石灰やアドロマイトの運搬のために利用された貨物線の名残だ。
2両編成のワンマンカーがホームに入線している
【栃木県】葛生「旧葛生郵便局」(佐野市)202003
唯一といっていいかもしれない近代的なモダンな建物、看板には「葛生郵便局」とうっすらと残っていた。
【栃木県】葛生(佐野市)202003
県道沿いには門や塀で囲まれた土蔵や店蔵などが並ぶ。
石灰産業で財を得た豪商のものだったのだろうか、その財力の大きさを物語る。
もっとも、古い街並みを残す町並みにしては道幅が広すぎる感がしなくもないが。
【栃木県】葛生(佐野市)202003
県道から外れた細い道には木塀が続く。
短冊状に敷地を持っていたのだが、その奥行きの深さに驚かされる。
真ん中に溝のようなのが走っているのは、ここがかつて水路だったのだろう。
屋敷間同士の境界を示しているのかも知れない。
【栃木県】葛生(佐野市)202003
県道沿いの古い街並みと県道の幅があまりにアンバランスに感じる一方で、その外れの細い通りに入ると落ち着くように感じる。
腰が海鼠壁だが、玄関回りがアールを描いており、モダンな風にも感じる。
向かいに続く土塀
畑越しの塀の内側に白壁の土蔵が並ぶ
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