【茨城県】潮来(潮来市)
県道沿いの商家と蔵が並ぶ街並み
茨城県南東部にある潮来は霞ケ浦、北浦、常陸利根川に囲まれた町で、「水郷」として知られる。
古くから水運交通の要所として栄え、常陸国府(石岡市)から鹿島神宮への参詣道の宿駅として「板子駅」と呼ばれていたのが起源とされ、江戸時代に水戸藩領になったと同時に「鹿島の潮宮」からあやかって現在の「潮来」に改名されたといわれる。
江戸時代は東北諸国から江戸へ運ばれる霞ケ浦・利根川水運の中継地となり、東北諸藩の蔵屋敷が河岸に建ち並んでいたとされる。
鹿島神宮や香取神宮の参詣路の宿駅も兼ねていた潮来は在郷町として繁栄し、浜町に遊廓ができると吉原、大洗と「関東三大遊廓」と称されるほどの歓楽郷に成長する。
江戸中後期になると利根川水運の拠点が対岸の佐原(千葉県)に移り、さらに近代以降は常磐線の開通により陸運が隆盛したことで、湊町としての機能は失われ、水郷観光に重きを移すことになる。
利根川支流の前川沿いの旧街道沿い(現在は県道)に古い街並みが点在し、長屋門を備えた門塀の屋敷や酒蔵を目にすることができる。
一方で、隆盛を極めた潮来遊廓は昭和33年の赤線廃止と共に終焉、現在その名残はほとんど消え失せている。
【茨城県】潮来(潮来市)202006
潮来の古い街並みは連続して居るほどでなく旧街道の県道沿いにぽつりぽつりと残る程度だが、巨大な長屋門と塀、蔵が並ぶ箇所が往時の名残をとどめている。
反対側から撮影
【茨城県】潮来「愛友酒造」(潮来市)202006
潮来駅から県道を歩いて20分程だろうか、辻という地番に江戸時代から続く造り酒屋「愛友酒造」さんがある。
県道から奥に入る細い通りは両側に白壁が続き、三角屋根の蔵と塀が交互に並ぶ。
【茨城県】潮来「長勝寺」(潮来市)202006
あやめ園と並ぶ潮来の代表的な観光スポット「長久寺」は、源頼朝が武運長久を祈るために創建したと伝えられる古拙。
参道を進んで山門をくぐった先に見える本堂は茅葺き屋根で歴史を感じさせる。
正面から臨むと、屋根に源氏の家紋(笹りんどう)が並んでいるのが見える。
江戸時代に創建された山門 当初は普門院の門だったが徳川光圀によって現在地に移築
【茨城県】潮来「あやめ園」(潮来市)202006
潮来の代表的名所「あやめ園」は潮来駅から徒歩3分ほどの至近にある。
霞ケ浦から常陸利根川へ注ぐ前川に沿って広大な敷地に菖蒲(あやめ)の苗が並び、6月ごろが咲き頃、同時期には毎年あやめ祭りが開催される(2020年は中止)。
今回はこのシーズンを狙って早朝に東京を出て2時間かけて訪問、満開とまではいかなかったが色よりどりの花が敷地いっぱいに咲き誇っていた。
年中無休、24時間無料で入れるのがうれしく、地元民の散歩姿も見かける。
園内には橋幸夫のデビュー曲「潮来笠」の歌碑と銅像が立っている。
【茨城県】潮来「前川」(潮来市)202006
霞ケ浦から常陸利根川に注がれるのが前川で、潮来市街地を縦断する形で流れる。
川沿いには十二橋めぐりの舟が何艘も繋留していて、かつて水運で繁栄してきた潮来が水郷観光で支えているのを伺えるが、市中の旅館やホテルなどを見ても時代に取り残されている風の佇まいで、観光で生き残る厳しさを感じさせる。
水門の先には常陸利根川が流れ、対岸が千葉県だ。
常陸利根川(対岸は千葉県)
0コメント